ロースコアの投手戦で慶応が負けると分析していたので、不利な状況になる慶応を応援したくなる心理現象が働くと思っていたが、予想とは裏腹に衝撃的な幕開けとなった。
慶応の攻撃から始まった1回表では、球場の観客席半分ほどを埋めていた慶応の大声援が甲子園に響き渡り、慶応プリンスこと丸田君が先頭打者の先制ホームランで幕開け。
早々に湯田投手のスライダーを見切った長髪さわやか青春打線が続き、2回には慶応が3点のリードを奪い仙台育英を攻め立てた。
鳴り止まない大歓声にアウェイな仙台育英だったが、2回3回に得点を入れて初戦から強豪を降してきた王者の意地を見せる。
これ以上リードを広げたくなかった仙台育英だったが、5回にエースの高橋投手を継投するも、乱れた守備と慶応打線に抑え込まれて一挙5点を失う。
その後、継投したエースの小宅投手が仙台育英の強打線を無失点に抑え、慶応が107年ぶり2度目となる世紀を超えた優勝を果たした。
印象的なシーンが多い決勝戦だったが、試合終了後から閉会式が終わるまで、ずっと泣いてた橋本君と鈴木君が特に印象的だった。
慶応に5点を奪われた魔の5回。外野を守っていた二人は、丸田君が2アウトから放った左中間への飛球の落下点に入り激突。慶応の大声援で連携の声がかき消されたのか、交錯時に橋本君のグラブからボールが弾き落ちた。
さらにこれまで打席でも活躍してきた二人だったが、この試合ではノーヒットに抑えられている。人気があり期待されていただけに責任を感じたのかもしれない。
しかし、鈴木君は苦戦した履正社や神村学園との対戦で2本のホームランを放ち、チームを勝利に導いた。橋本君も通算23本のヒットを放ち、トップバッターとしてチームを牽引した。
初戦から強豪ばかりと当たりながらも、2年連続で夏の甲子園の決勝まで勝ち上がった仙台育英はレベチのダンチでガチやべぇじゃんリアルにほらまじマジやべぇじゃん卍だった。
慶応の大声援がフェアじゃないと問題になっているが、アルプスにいるもう一人のチームメートとも戦わないといけないのが甲子園。応援団は味方を鼓舞するだけでなく、相手に圧をかけたり、魔物を召喚する存在。試合状況によっては、アルプス以外の観客が敵になったり味方になったりして、地鳴りのような歓声が起こることも。
美爆音で有名な習志野は、声出し応援が禁止されるコロナ前に夏の甲子園に出場したが、2回戦で敗退。声出し応援が解禁された今年の地方大会の決勝でも、拮抗した専修大学松戸に負けている。大所帯の吹奏楽部やOBが客席にいても、実力に差があったり、メンタルが弱いと試合は崩れる。
慶応は最速150キロを超える仙台育英の投手陣から13安打を放ち、キーマンの橋本君をノーヒットに抑えての7安打は努力と実力の証。
二項対立を煽られた試合だったが、どちらも野球を楽しむためにレベルがあげられる環境が用意されている学校。仙台育英だけではないが、点差がつき負けそうな状況でも、心折れずに立ち向かう選手には心を打たれる。最後まで諦めずに戦った選手を叩く地元民はいないだろうし、胸を張って甲子園を後にしてほしい。
若き頃に経験できなかったような青春追体験をあざました。
夏甲子園 第14日 決勝
仙台育英(宮城)-慶応(神奈川)
慶 210 050 000|8
仙 011 000 000|2
【仙】湯田→高橋→田中
【慶】鈴木→小宅
スコア(試合の記録)(日刊スポーツ)
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