バブル崩壊直後の1994年。夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事をしている。細やかな気配りや丁寧な仕事ぶりによって顧客からの信頼を得て、上司からの評価も高い。何不自由のない生活を送っているように見えた梨花だったが、自分への関心が薄い夫との間には、空虚感が漂いはじめていた。そんなある日、梨花は年下の大学生、光太と出会う。光太と過ごすうちに、ふと顧客の預金に手をつけてしまう梨花。最初はたった1万円を借りただけだったが、その日から彼女の金銭感覚と日常が少しずつ歪み出し、暴走を始める。
(C)2014「紙の月」製作委員会
偽者の恋
この映画の主人公は銀行員(宮沢りえ)だから、資産家の顧客が何人か登場する。そのうちの一人にボケたババア(多分一人暮らし)がいるんだけれど、このババアが購入した偽者のアクセサリーを見て銀行員の主人公が「綺麗ですね”偽者なのに”」と心で思ってたことだと思うけど無意識に口走ってしまう。
んで、ボケたババアは不機嫌な顔をするのかと思ったけど、笑顔で「いいのよ偽者でも。偽者でもいいじゃない綺麗なんだから」と言葉を返した。
銭で買った恋の輝きは一時的
いつぞやホリエモンは「愛はお金で買える」と言って叩かれていたが、この銀行員がしてた不倫と同じで、金で買った偽者の恋っていうのは、ババアが買った偽者のアクセサリーと同じで、本物のように綺麗に輝いてるけれど中身は偽者だ。その輝きは月のように一時的なもので満ち欠けしていく。
不幸は答えではない
世の中には親や親戚から誕生日に好きなものを買ってもらえる人や欲しいものがもらえない人、または何ももらえない人もいる。好きなものを買ってもらったり、大金を持ってることが幸せとは限らない。
自分の欲しいものを買ってもらえなかった、または何ももらえなかったから「不幸」だという答えをだすような人間になると、他人の幸せを見て攻撃する嫌儲サイドに落ちる。
ちなみに、主人公が初任給で旦那にペアウォッチの腕時計をプレゼントするときが一番幸せそうに見えた。ただ、もらった旦那は腕時計をゴルフのときに使うと言ったり、出張から帰宅したときにカルティエの腕時計をプレゼントしたりと悪気はないんだろうがちょっとずれていたりする。
小林ちゃんの演技力に惹かれる
きっちりゼンマイを巻き上げたように完璧に働く小林ちゃんは自由になれるとしたら何をすると考えたときに徹夜をすると言ったシーンが印象的だった。この辺りのシーンが一番おもしろいが、主人公は子供の頃に見返りに喜びを感じていたのか、与えることに喜びを感じていたのか、それともこの映画は他に伝えたいものがあったのか、ちょっとおれの頭では理解できないシーンが幾つかあった。
本やドラマは内容が少し違うようなので機会があれば見てみたい。想像してたような話の内容じゃなかったからおもしろかったけど、実際こんな女が会社にいたらシャチョさんはたまらんだろうな!
日本で起こった3大銀行横領事件
@滋賀銀行9億円横領事件
@足利銀行詐欺横領事件
@三和銀行詐欺横領事件
映画「紙の月」の挿入歌が聴けるサイト
心が動くような映像を見てるときに音楽が流れると、その音楽はキャッチーでなくても耳に残る。不思議。
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